風邪に薬は効かない?

風邪をひいたら、風邪薬を飲むのが普通ですよね。
しかし、この「普通」と言うのは、本当に正しいことなのでしょうか?
最近、巷では「風邪に薬は効かない」という噂がチラホラと流れていますよね。
もしこの話が正しいのであれば、風邪のときに薬を飲んでも意味がないと言うことになってしまうのでしょうか?
今回は風邪と風邪薬について、解説します。

結論から言うと、風邪に「治療薬」は存在しません。
風邪と言う病気は、ウイルス感染による上気道感染症です。
広義にはインフルエンザも風邪になります。
そして上気道に感染した病原体となるウイルスを死滅させる、つまり根本的に風邪を治療する薬と言うのは、現代の医学をもってしても開発されていないのです。

しかしだからといって、「風邪に薬は効かない」というのも少し語弊のある言い方になります。
風邪をひいて病院やクリニックに通院すると、大抵は風邪薬が処方されますよね。
治療薬がないのならばどうして処方されるのか、矛盾していると感じる人も多いでしょう。
薬局に行っても総合感冒薬が無数に販売されていますし、実際にそれを服用している人も数多く存在します。

なぜ病院やクリニックで風邪薬が処方されるのか、なぜ薬局で風邪薬が販売されているのでしょうか?
じつはその理由というのは、「主に風邪の症状を緩和させるため」なのです。
風邪をひくと熱が出て体がだるくて頭痛がして、といったようにさまざまな症状が出て辛いですよね。
風邪薬とは基本的に、それら諸症状を緩和させるための薬なのです。
症状が緩和されれば単純に楽になりますので、非常に助かります。
抗生剤のように細菌感染の可能性に備えたり、インフルエンザのタミフルのようにウイルスの根絶は出来なくともウイルスを細胞内に閉じ込めて増殖を抑えたりする効果のある薬も存在しています。

しかしだからといって薬に頼りすぎるのも問題です。
発熱というのは私たちの体が免疫と戦う際に発生する自然現象で、安易に解熱するとウイルスに有利な体内環境を作ることになってしまいます。
「風邪をひいたらすぐに風邪薬」というのはあまりおすすめできないのです。

風邪をひいたら、まずは安静にして栄養と水分を補給しましょう。
十分に体を休めて栄養を摂っていれば、風邪は大抵自然に治るでしょう。
それでも症状が辛すぎてどうにもならない場合、どうしても症状を緩和しなければならない事情がある場合などには、風邪薬に頼るのがおすすめなのです。